いつもの帰り道、ひと駅手前で降りてみたことはありますか。わたしは金曜の夜、たまにやります。定期券の範囲がひと駅ぶん広がるだけの、ささやかな旅です。
初めてやった日のことをよく覚えています。改札を出て3分で、もう知らない道でした。いつも電車の窓から見ていた景色の「中」に、自分が立っている。それだけのことが、思っていたより面白かった。

準備はいらない、というのがいい
遠出の計画は、立てるだけで日曜が終わります。ひと駅の旅に必要なのは、歩ける靴だけ。わたしはいつも45分だけ歩くと決めています。スマホの地図は見ない。迷ったら、電車の高架が見える方へ歩けば駅に着きます。
45分あれば、パン屋を1軒、公園をひとつ、名前を知らない神社をひとつ、だいたい見つけられます。見つけたものは帰りの電車で手帖にメモします。「踏切の横に、ジャムだけ売っている店」。この一行が、次の週末の予定になります。

「知らない」は、意外と近くに置いてある
旅行のよさは、知らない場所を歩くことだと思っていました。でも知らない場所は、飛行機に乗らなくても、ひと駅手前にちゃんとありました。
今週の金曜、もし少し早く帰れたら。定期券のまま、ひとつ手前で降りてみてください。晩ごはんが少し遅くなるだけで、週末がひとつ増えた気分になります。




